学生目線で視察する【世界最大のテクノロジーイベントCES 2021】

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 毎年ラスベガスで行われている「世界最大のテクノロジー見本市CES」が今年はオンライン開催でした。昨年、インターン生として会場に同行させてもらい、世界中から集まった4400社程の企業を3日かけて視察しました。今年の出展社数は昨年の2倍近くに及び、AI、ロボット、スマートホーム、IoT、ヘルスケアなど多岐に渡る分野の企業が、コロナ対策や高齢者社会にに向けた技術を含め、革新的なサービスや商品を披露したそうです。

 今年は、実際に参加した訳ではありませんが、「今世界では何がテクノロジーのトレンドであるのか」「注目されている企業はどこか」「日本の世界における位置づけ」などが気になり、自分なりにCES 2021について調べてみました。そこで、今日は昨年の様子と比較しながら、私なりの視点でCESをレポートしてみたいと思います。

 まず初めに、日本企業の世界における位置づけの変化を年代ごとにご紹介していきたいと思います。2000年代前半、日本は世界のトップと称賛され、CESの中心的存在でした。Panasonic、Sony、Sharpなど、格業界で日本企業が注目を浴びていました。しかし、2007年に転換期が訪れます。ストリーミングサービスが世界のトレンドとなり、Amazon、Google、Facebookなど米ネット企業が台頭して来たのです。その後、日本はネットや3D機能で巻き返しを狙いますが、韓国のサムスンの勢いには及びませんでした。その時期から、日本企業の「冬の時代」が到来したそうです。2010年からは、自動車各社がCESに参入しました。日本勢は新たな挑戦として、ヤマト運輸が空飛ぶ車を開発したり、SONYがEV車を開発しました。しかし、近年5G、IOTがトレンドとなり、AmazonやGoogleが占拠している状態にあります。

 これは、あくまでも私が調べてまとめた日本のCESにおける位置づけの変化になります。ですが、昨年ブースを視察する機会を頂いて、明らかに日本企業のブースには人が少なかったり、会場規模も他国に比べて小さいなど、まさに「日本の冬の時代」を感じるものがありました。

 そんな昨年のトレンドは「モビリティ」「自動車」であったと考察しています。日本の小さな半導体商社から、SONY、Amazonに渡る大企業まで、揃って多機能な自動車を展示していました。またトヨタ自動車は、「スマートシティー」という街を展示していて、トヨタは自動車業界における世界のトップで無くなるという実感と共に、自動車業界の変遷を感じました。本当に優れた機能がなければ、自動車業界で生き残る大変さを感じました。

 しかし、今年は「コロナ」「パンデミック」が世界のビックニュースなり、世界情勢が大きく変わりました。各社の製品の様子を見ると、トレンドは「タッチレス」「ウェルネス」「ヘルスケア」であると思いました。トレンドが変わったことにより、昨年までのCESでは「冬の時代」と呼ばれていた日本でしたが、今年は日本にチャンスのある製品も多くあるのではないかと感じました。その理由と共に、気になった2社の日本企業を取り上げて、私なりの考えを書いてみようと思います。

 まず1社目に挙げるのが、「TOTO」です。TOTOは、新型コロナウイルスの感染拡大により衛生、清潔への意識が高まる中、以前より取り組んできた「TOUCHLESS」「WASHLET」「CLEAN SYNERGY」を世界に広めていくことを発表しました。

 初発表となる、ウェルネストイレの取り組みでは、特別な操作や装置は不要で、普段通りにトイレを使うだけで様々な健康指標をモニタリングし、コメンドをスマートフォンのアプリに届けるという基本コンセプトを公表しました。TOTOが目指すウェルネストイレとは、いつものように座って用を足すだけで、体の状態をスキャンし、健康に関するアドバイスを返してくれるそうです。排泄時には自然と衣服を脱ぐため、トイレの便座と皮膚が接触する独自のポイントがあり、排泄物そのものからも様々な健康データが得られるとのことでした。

 電子化することで進化したトイレの設備機器から、デジタルデータを収集できるTOTOのトイレは、新たな価値を生み出したトイレ業界のIoT(物の自動)化の先駆けとなったのではないかと思いました。2020年のニューノーマル化で、アメリカでの売り上げを上げていたTOTOはさらに、世界に市場を拡大できると予想します。

 次に「SONY」の展示がとても気になりました。1日の大半を家で完結するようになった私たちは、家の中に「楽しみ」を見出すため、日々の暮らしに「エンターテイメント」を求めるようになりました。実際に日本でも「集まれ動物の森」が流行し、「鬼滅の刃」は話題の映画になりました。このような人々の需要に合わせて、SONYは「人々にエンターテイメントの感動と、それを支える価値創出」を提案しました。

 リアリティー、リアルタイム、リモートを追求する「3Rテクノロジー」によって、想像力を広げるコンテンツクリエーションや、超臨場感溢れるエンターテイメント体験、そしてより良い未来に貢献するテクノロジーに関する12のトピックスによるコンテンツで構成していました。

 立体音響技術による360 Reality Audioは主要音楽ストリーミングサービスと提携し、立体的な音楽と映像を組み合わせた、アーティストによるビデオコンテンツ配信サービスで、年内に配信予定です。アーティストとリスナーを繋ぎ、あたかも同じ空間にいるような臨場感を味わえるとのことです。今年はかなりのアーティストが、ライブ配信を試みたと思います。私も配信に参加したことがありますが、小さい画面の中に見えるアーティストは、さらに手の届かない存在に感じました。アイドル文化が盛んな日本やアジア圏には、需要が高いサービスであると思いました。

提供Sony Muslc

 リアルタイム3D映像技術を活用した、マディソン・ビアー・イマーシビリティ・コンサートも面白いコンテンツだと思いました。シンガーソングライターのMadison Beerが、ソニーの最新のリアルタイム3D技術を活用し、非常にリアルなアバターとなり、最新メドレーを仮装のソニーホールよりお届けします。

 その他にもSONYは、SONYの一眼カメラ「aシリーズ」を搭載したドローン「Airpeak」を発表しました。リモートで上空から壮大な映像を撮影でき、空を超えて宇宙から撮影できるようにすることで、よりダイナミクスな映像を撮影できるそうです。このドローンは各国でも話題になっているので、気になった方は是非調べて見て下さい。

 以上が長くなりましたが、私が考察するCES2021です。日本は「冬の時代」と呼ばれていますが、私は「ウェルネス」と「エンターテイメント」で世界の需要を獲得し、「冬の時代」から抜け出せるのではないかと考察しました。内容はまだまだ浅いですが、読んで下さりありがとうございました。伝えたいことを書ききれなかったので、次回のブログでは海外企業に焦点に当てて、書いてみようと思います。

2021/02/05 八巻美穂

 

 

 

 

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