競争するエネルギーが良いものを作る話

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 私は、この3月から関西のある塾に就職しました。会社の研修やインターンではよく、「塾と学校の違いはなんですか?」という質問が出ます。

 ある時、この質問に対して執行部の方がとても面白い回答を答えておられました。それはズバリ、「良いものを作ろうとするエネルギーがあるか、ないか」でした。初めは、その意味がよく理解ができませんでしたが、理由を聞いていくと納得して、塾と学校の話だけではなく実生活でも共感することがあったので、何か皆さんのお役に立つのではないかと思い、本日は「競争するエネルギーが良いものを作る話」について書いていきたいと思います。

 本題に入る前に述べておきたいのですが、私は学校教育が悪く、塾の教育が良いものとは全く思っていません。学校には、塾にはない良さがあり、塾には学校にはない良さがあると思っています。これから書くことはあくまで、両者のある1つの観点からの違いに過ぎませんので、そう感じて頂ければ幸いです。

 まず初めに、両者の共通点は、「子供たちに幅広い知識を与え、子供たちの可能性を広げるもの」であると思っております。その上で、学校教育と塾教育の違いについて述べていきます。

 学校は、私立の学校に行かない限り、年齢が上がったら、定められた地区の決められた学校に通います。学校の教育は、教材、先生、授業内容、授業数は全て事前に決められていて、自分で選ぶことはありません。この様に、学校教育というものは最初から国や市によって全て定められているのです。元々定められた、カリキュラムに乗って物事を進めていくといくので、他校と競争する必要はありませんし、国が大きなプロジェクトでも執行しない限り、教育内容が進化することはありません。

 反対に、塾は民間教育のため国や市から定められたものはありません。ですが、民間企業なので、働いている社員にお給料を払うために「利益」を出さなくてはいけません。そのため、より多くの「利益」を出そうと、他塾と差別化を計って、より多くの生徒を集めようと努めます。この様に塾は「ビジネス」であるのです。ですので、学校とは異なり、テキスト選びから、クラス編成、講師の質まで徹底的にこだわります。そこで、塾には他塾と「競争するエネルギー」が生まれ、より良い物を作ろうと試みるのです。このエネルギーが、教育の進化へと繋がるのだと、教えて頂きました。

 確かに、私が以前通っていた進学塾はたった数年でかなり進化しました。AIが生徒の苦手を判断して、過去から苦手を分析できるシステムが導入されたり、自宅で授業を受けられるようにもなりました。しかし、学校は受け持っている生徒の話を聞いている限り、「進化」という点では、変化がないように感じます。コロナウイルスの影響で、ipadは普及されましたが、授業の内容や質に進化があるようには感じませんでした。

 もちろん、学校教育は「勉強ができる」ことが全てではありませんし、絶対に塾では得られない経験があります。しかし、この様に「競争するエネルギーが良いものを作ることができるのならば、競争性を学校の教育にも取り入れた方がいいのではないかと思いました。

 話は変わりますが、私は年に1回、TOEICを受けています。最近またTOEICを受けたので、昨年留学する前の点数と比べてみたら、全く上がっていなくてショックを受けました。しかし、この話を聞いてから、理由がすぐに分かりました。

 最近の私はなんとなくダラダラと英語のレッスンを受けていて、毎日英語に触れているから、英語力は伸びているでしょと、勝手な思い込みをしていました。ですがそこには、明確な目標や、過去の自分に比べてどうなりたいかという競争心がなかったので、伸びなかったのだと感じました。

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 しかし、受験生の頃を思い出して見ると、常に過去の自分に競争心を抱いていて、成績が上がっていったことを思い出しました。毎日「昨日の自分に比べてこうなりたい」「この前の模試の自分よりも、良い点を取るんだ」という、思いがありました。競争対象はあくまで自分でも、より良い自分になろうとする競争心がエネルギーを生み出して、成長させてくれたのではないかと思います。

 今回は、教育や勉強について「競争するエネルギーが良いものを作る話」というテーマで書かせて頂きましたが、これは良いものを生み出そうとする全ての事に繋がっているのではないかと思います。これから私は、何か成果を出そうとする時は、過去の自分でも、他者でも基準値を設けて取り組んでいこうと思います。

2021/03/06 八巻美穂

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