国際恋愛を通して気づいた二人の自分と文化の壁【内藤美保さんインタビュー】

海外

国際恋愛。国境やバックグラウンドが異なる相手と育む恋愛は、二人にしか見えない世界があります。お互いの文化や考え方を共有し、違いを乗り越えることで、お互いの成長につながるでしょう。

アメリカ人の彼とお付き合いをされている内藤美保さん。今回は、美保さんと彼の出会いから、国際恋愛を通して気づいたことをお聞きしました。彼女の価値観に触れれば、日本の新しい多様性の視点や、日本にはない文化への気づきにつながります。

プロフィール

内藤美保(ないとうみほ)

1997年生まれ、23歳。名古屋外国語大学在学中、アメリカノースカロライナ州で長期留学を経験。言語学を学ぶと共に日本語教育のTA(ティーチングアシスタント)に携わる。卒業後、IT系の企業に就職、現在は、webライターとして活動する傍ら、国際セラピストの資格取得に向けて勉強中。彼と日本で生活する中での体験談や気づきなどを、SNS やブログで発信している。

「今を楽しく生きていい」彼の言葉で気づいた二人の自分

ー本日はよろしくお願いいたします。美保さんは、どのような経緯で今のお相手と出会ったのでしょうか?

アメリカの交換留学先で出会いました。ノースカロライナ州のWestern Carilina大学で、すごい自然豊かなところでしたね。

この大学には、日本語や日本文化を教える日本語学科があって。教授に掛け合い何か学べることがないか相談したのがきっかけです。日本語学科の授業を彼も取っていて、第一回目のクラスで自己紹介をしました。

ーそうなんですね。彼と今まで過ごす中で、変化したマインドや価値観はありますか?

「もっと自分の選択を信じて、今を楽しく生きて良い」と思える変化がありました。

彼がアメリカにいる私と、日本にいる私を間近で比較して「アメリカにいた時はもっと自由だった」と言っていて。日本の私は「息苦しそう・狭そう」という表現をしていたんです。

その時にハッとしました。誰にも指示されているわけじゃないのに、国によって無意識に制限された行動をとっている自分がいるなと。

例えば、服装・メイク・恋人同士のスキンシップの仕方・社会での振る舞い方など。私は本当はスッピンで街を歩きたいけど、日本ではメイクをします。恋人同士のスキンシップも、アメリカで見たように、好きな時にお互い触れ合うのが素敵だなと感じるんです。

でも、日本だと勝手に制限されていることに気づきました。それで、もっと自分らしく生きようって思えるようになりました。今は彼の一言があって、理想の自分と今の行動が一致してきています。

その国の人の視点になって考える大切さ

ー他にも彼からの視点で、気づいたことはありますか?

世界の情勢や、政治について変化した価値観があります。彼から世界の政治状況については日常的に話を聞いていました。

彼が詳しいというよりかは、アメリカ人全体が政治に興味があります。アメリカは大きい国だからそれだけ世界に与える影響が大きくて、国民全体が政治に興味あるのかなと思っています。

ー世界情勢についての具体的なエピソードをお聞きしたいです!

東京オリンピックの時に、ウガンダの選手が日本で仕事を見つけるために逃亡したニュースを知ってますか?

私はそのニュースを見た時に「そんな人いるんだ、やばいじゃん!」としか思わなくて。母に伝えても同じ反応でした。

でも、彼に伝えたら全く違う反応でした。ウガンダの人の生活状況や、経済がわかる動画をYouTubeから引っ張ってきて、私に見せてくれました。その動画を見たら逃げ出したくなる理由がわかりました。

「この状況だったら、日本で働きたくなるよね」と、二人で話しました。彼の姿勢である、その国の人の視点に立って、世の中の状況をとらえることがすごいなと思ったんです。

私だったら「へー」で終わるところを、自分のことのように調べる。1つのニュースに対しても、見方が違って勉強になります。そうすることで、政治や情勢にも興味が持てるなと思いました。

キリスト教は幸せになるための指針

ーなるほど。反対に、国際恋愛を通して壁にぶつかった経験はありますか?

宗教の問題です。彼はキリスト教で、私は無神教。初めは真剣に付き合う中で、結婚をするなら、私にもクリスチャンになってほしいという要望を受けました。

彼の生活を見ていく中で、自分が幸せになるために宗教が存在しているのだと、キリスト教に対する抵抗はなくなりつつあります。でも、私は簡単に「イエス」とは言えません。

クリスチャンになることで、人からどう思われるのかな。子どもができたら、子どももキリスト教になるのかな。学校でいじめられないかな、などの不安が出てきます。彼と付き合う違和感とか、一緒にこのままいられるかと考えて、別れがよぎったこともありました。

ークリスチャンはクリスチャン同士でないと結婚できないのですか?

いいえ、それはキリスト教をその人がどうとらえるかによるみたいです。私の友達カップルもクリスチャンだけど、相手にクリスチャンになることは求めていません。

私は彼に「なんで私にもキリスト教になることを求めるの?」と、聞いたことがあります。クリスチャンの人は、相手が誰でも優しくできるので「じゃあ、私の思う無心教でも良いんじゃない?」と思って。

でも、彼にとってキリスト教は幸せな生活を送るための指針で。幸せになるための考え方を、私にも共有したかったことを話してくれました。

あと、彼のアイデアには「神様を信じている人は、どこか違う世界でまた出会える」という考えがありました。その時に、彼の考えは来世までつながっていて、そこまで私と会いたいと思っていることに気づきました。

ー宗教は難しい問題だと思いますが、そこで良い方向に向けた「壁の乗り越え方」はありますか?

まだ解決には至ってませんが、「話し合い」が大切だと思っています。ただでさえ英語のコミュニケーションの壁があるので、相手が何を思っているのか、徹底的に話し合うようにしています。

宗教のことになると平気で6時間くらいお互いの意見をぶつけ合うことがありますね。でも、話し合う内に「なんでクリスチャンになってほしいのか」とか「自分がクリスチャンになって本当に嫌なことってなんだろう」と考えられるようになりました。

クリスチャンがあったからこそ、今の彼の性格があるので簡単には否定はできません。

ーポジティブな面もあるし、ネガティブに思う面もありますね。

今は葛藤しています。話し合いを重ねることで、彼は結婚するにしても「クリスチャンになることを押すつもりはない」と言ってくれました。将来どこかのタイミングで、お互い納得できる着地点が見つかれば良いと思っています。

他国籍の人の立場になるとわかる「日本の多様性」

ーそうですよね。国際恋愛を通して、多様性について考えることはありましたか?

役所関連の申請書類を提出する時に、日本における多様性について考えることがあります。市役所の提出物、外国運転免許証の切替え、VISAなど大事な書類の作成を日本に慣れてない人が一人で行うには、優しくない文化があると思う時がありました。

ブースや書類には英語が書かれていないので、私は彼の申請には付き添うようにしています。でも、全ての人に親しい日本人がいるわけじゃないと思うんです。彼はよく「通訳してくれる人がいなかったら、日本で途方に暮れている」と言っています。

運転免許証センターでは、提出する書類が複雑で何回も来ている人がいました。でも、その人は説明の意味が理解できないので、スタッフの人があきれて怒鳴りつけていました。

このエピソードのように対応がひどいと感じる場面があって、日本の多様性って何だろうって考えるんです。通訳者を雇ったり、翻訳機を設置するだけでも変わるのかなとは思っています。

ーせっかく日本が好きで移住しに来ている人も、この制度のままだと帰国を考えざるおえない状況になるかもしれませんよね。

そうですね。他にも日本における多様性について、アメリカと比較して考えることはあります。

アメリカでは、肌の色や髪色が違うことが当たり前です。言語や国籍も多種多様なので、人と違うことに誰も違和感を覚えません。その違いは「かっこいい魅力」として受け入れられます。

ですが、日本だと違うことがいじめられる対象になりかねなません。あらゆることに対して違いを受け入れられるようになれば、もっと生きやすい環境になるかなと思います。

ー最後に、国際恋愛について悩んでいる方・興味のある方にメッセージをお願いします!

付き合っている人が国際的だと、ネガティブに考えて難しいと感じることもあると思います。でも、経験を全て引っくるめて楽しめたらすごく良い関係が作れると思います!バックグラウンドが違うからそ、すごい面白い恋愛ができるのではないでしょうか!

ー本日は貴重なお話をありがとうございました!

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